ハンセン病 謝罪決議文の要旨(曹洞宗宗議会)



〈決議文〉(要旨)

 宗門は、国のハンセン病政策に追随し、荷担してきたことに対して、宗教者として深く謝罪と反省の意を表する。
 わが国のハンセン病政策の中で、近年に至るまで、我宗門では、一度として患者の側に立って、国の「非人道的政策」に異議を唱えることはなかった。
 むしろ「悪しき論」による布教によって国民の意識の中に「偏見と差別意識を助長した」と言っても過言ではないし、慰問布教の名のもとにハンセン病患者・元患者の方々にあきらめを説いてきた歴史的事実がある。
 すなわち、この病が過去世において三宝や『法華経』などを誹謗中傷した業の報いであると、「悪しき業論」の典型として説明され続けてきたのである。さらに、悪業の結果としてのハンセン病においては、ハンセン病者の絶滅思想をも伝承してきたのである。
 ハンセン病の方たちに対して、菩薩行に生きるべき宗門人が両祖の教えに反して、無慈悲な所業をなしたことは誠に慚愧に堪えない。
 宗門においては、「宗典・祖録・説教の点検」「悪しき業論の克服」の取り組みの中で、元患者の方々の講演、療養所での現地学習を行なってきたが、全宗門的な取り組みとしては、不充分であったと言わざるをえない。
 よって本会議は、このような過去の重大な過ちを認め、ハンセン病患者及び元患者、ご家族、ご親族に対して深く反省し謝罪の意を表するとともに、宗門を挙げてハンセン病患者及び元患者の方々の人権回復の為の啓発活動に取り組む決意をあらたにし、さらに、死後も故郷へ帰ることのできなかった全国のハンセン病療養所の納骨堂に眠る二万三千人の精霊に哀悼の意を表し、そのご遺骨の帰郷活動に力を尽くす決意であることを表明するものである。
 右、決議する。

二〇〇一(平成一三)年六月二十八日

(2001年7月3日付『中外日報』、第7面)


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