釈尊が「西紀前949年に入滅した」などということはありえない


 先日、Yahoo!掲示板「創価学会と日蓮正宗」というところに少しの間だけ参加させて頂いた(1)のだが、そこでまた驚くべき人物に出会ってしまった。

 その人物はなんと、以下のように発言されていたのである。

釈尊は、周の昭王二十四年、四月八日に
インドにて生誕☆

  (中略)

そして西紀前949年に、沙羅双樹の
間にて、入滅したのです☆

リナ・インバースさんのご発言、No. 11643)

 これに対して私は、

『法華経の智慧』では、


 遠藤 釈尊滅後百年ごろのアショカ王が残した碑文に、堕落した僧侶は教団から追放せよ≠ニ刻まれているのは有名です。

(池田大作他『法華経の智慧』第一巻、聖教新聞社、1996年、p. 68)



 遠藤 釈尊が入滅して百年後(二百年後説もある)と言われているアショカ王の時代でも、すでに僧侶の堕落が指摘されています。

(池田大作他『法華経の智慧』第三巻、聖教新聞社、1997年、p. 135)


と言われており、『仏教哲学大辞典』「アショーカおう【アショーカ王】」 の項目には、

生没年不明。在位は紀元前ニ六八年─紀元前ニ三ニ年ごろとされる。

(『仏教哲学大辞典 第三版』、創価学会、2000年、p. 28)


とあります。
 どのように計算しても、「西紀前949年に、沙羅双樹の間にて、入滅」ということにはなりません。

Libra の発言、No. 11645)

とご指摘したのだが、全く無駄だった。

 筆者としては、「リナ氏のような方がまだ他にもおられる」などとは思いたくないのであるが、やはり念には念を入れておくべきかもしれないと思い、以下に、釈尊が西紀前949年に入滅したなどということはありえない≠ニいうことについての論証を追加しておきたいと思う。

 まず、『仏教哲学大辞典 第三版』「ジャイナきょう【ジャイナ教】」の項より引用する。


 仏教とほぼ同時代にインドに成立した創唱宗教。ジナ教ともいう。

(『仏教哲学大辞典 第三版』、創価学会、2000年、p. 762)



教祖はマガダのヴァイシャーリーに生まれたヴァルダマーナで、マハーヴィーラ(偉大なる勇者)と尊称される。六師外道の一人。

(同上、p. 762)



クシャトリアの家に生まれたマハーヴィーラは、若くして結婚し、子をもうけたが、三十歳でニガンタ派に出家し、苦行ののち四十二歳で悟りを得てジナ(勝者)となったという。(中略)前四七七年頃、七十二歳で断食の末に世を去った。

(同上、p. 763)


 次に、同書の「ろくしげどう【六師外道】」の項より引用する。

釈尊の在世当時に、中インドに勢力のあった六人の外道論師のこと。

(同上、p. 1797)


 以上の引用から、「前四七七年頃、七十二歳で断食の末に世を去った」ヴァルダマーナと釈尊は「ほぼ同時代」の人間であることが分かる。よって、そのような釈尊が「西紀前949年に、沙羅双樹の間にて、入滅した」(リナ氏)などということはありえないと結論できる。


(1) ここでの議論は以下に記録してあるので参照されたい。

Yahoo!掲示板「創価学会と日蓮正宗」での発言[ 1 ]
http://fallibilism.web.fc2.com/Yahoo_01.html

Yahoo!掲示板「創価学会と日蓮正宗」での発言[ 2 ]
http://fallibilism.web.fc2.com/Yahoo_02.html

2001.11.01
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