科学は岩底に基礎をおくものではない(カール・ポパー)


 客観的科学の経験的基礎は、したがって、科学についてなんら「絶対的」なものをもたない4)。科学は岩底に基礎をおくものではない。科学理論の大胆な構築物は、いわば沼地の上に聳え立っているのである。それは杭の上に直立している建物のようなものである。杭は上から沼地のなかに打込まれるが、いかなる自然的なまたは「既定の」基盤にも達しない。そしてわれわれがより深い層に杭を打込もうとする企てをやめる時でも、それはわれわれが堅固な基礎に達したからではない。われわれはただ、少なくとも差し当っては、杭が構築物を支えるに足るほど堅固だと満足するときに、ストップするだけなのである。

(カール・R・ポパー『科学的発見の論理〔上〕』〔大内義一・森博訳〕、恒星社厚生閣、1971年、p. 139)

この書籍をお求めの方はこちらから
科学的発見の論理(上)


〔02.08.04 引用者付記〕
 註は引用を省略いたしました。


トップページ >  資料集 >  [101-120] >  117. 科学は岩底に基礎をおくものではない(カール・ポパー)

NOTHING TO YOU
http://fallibilism.web.fc2.com/
inserted by FC2 system