仏教の師弟関係(中村元)


(師は、自分の弟子をして)他人の弟子に勝たしむべし。
という。ここでは競争の原則が承認されている。正当な競争はやがて進歩を生み出す母であろう。
弟子の智慧をして師よりも勝れしめんと欲す。
 弟子は、教師から教え授けられたことを、ただ受けたもっているだけではいけない。教え授けられたことにもとづいてそれを発展し、師をのりこえて進まなければならない。ここには競争と進歩の原則が表明されているのである。
 これに類した師の心がけとして、『芸を極めてこれを教う。』とある。短い文句であるが意味するところは深い。教師自身が不断の勉強をして「芸を極め」なければならない。

(中村元『原始仏教 その思想と生活』(NHKブックス111)、日本放送出版協会、1970年、pp. 202-203)

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