密教の「入我我入」(頼富本宏) |
インドの体系化された密教では、われわれを包み込む大宇宙と、身体存在に象徴される小宇宙との一体化を瑜伽 ゆが (ヨーガ)と呼んだ。また日本密教の教義では、この実在世界をトータルなものとして象徴する大日如来が厳然としてあり、またわれわれ修行者は、みずからを密教的修行者である金剛薩タこんごうさった であると感じ、両者の相即を実感する。これを専門用語では、「入我我入 にゅうががにゅう 」もしくは「即身成仏」と称している。そして、大日如来に象徴される宇宙性を、「いのち」と呼んだのである。