密教の「入我我入」(頼富本宏)


 インドの体系化された密教では、われわれを包み込む大宇宙と、身体存在に象徴される小宇宙との一体化を瑜伽 ゆが (ヨーガ)と呼んだ。また日本密教の教義では、この実在世界をトータルなものとして象徴する大日如来が厳然としてあり、またわれわれ修行者は、みずからを密教的修行者である金剛薩(〔土+垂〕)こんごうさった であると感じ、両者の相即を実感する。これを専門用語では、「入我我入 にゅうががにゅう 」もしくは「即身成仏」と称している。そして、大日如来に象徴される宇宙性を、「いのち」と呼んだのである。

(頼富本宏『密教とマンダラ─その万華鏡的世界─』、日本放送出版協会、1990年、p. 248)


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