大宇宙と小宇宙の一体を体得する道─ヒンドゥ教・タントラ
(松長有慶)


 ヒンドゥー教の中に、タントラと呼ばれる聖典が伝承されている。それはシヴァ派の中のシャクティという女性原理を重視する派の聖典に限定される場合もあるが、それだけでなく実践法に関する規定や、神を祀る手続き、方法などを記した書物も、幅広くタントラといわれる。
 タントラとは、もともと思想とか哲学を説くための書物ではない。大宇宙である真理の世界と、小宇宙である人間の世界が、本来は一つのものであることを体験を通じて知るための実践の道、修法のしかたを明らかにしたものである。伝承の上ではタントラの起源は古いが、ヒンドゥー教の中では、五世紀ころに世間に知られるようになり、さらに八世紀から十二世紀ころにかけて最盛期を迎えた。

(松長有慶『密教』(岩波新書・新赤版179)、岩波書店、1991年、pp. 23-24)

この書籍をお求めの方はこちらから
密教


トップページ >  資料集 >  [021-040] >  033. 大宇宙と小宇宙の一体を体得する道─ヒンドゥ教・タントラ(松長有慶)

NOTHING TO YOU
http://fallibilism.web.fc2.com/
inserted by FC2 system