大宇宙と小宇宙の一体を体得する道─ヒンドゥ教・タントラ
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ヒンドゥー教の中に、タントラと呼ばれる聖典が伝承されている。それはシヴァ派の中のシャクティという女性原理を重視する派の聖典に限定される場合もあるが、それだけでなく実践法に関する規定や、神を祀る手続き、方法などを記した書物も、幅広くタントラといわれる。
タントラとは、もともと思想とか哲学を説くための書物ではない。大宇宙である真理の世界と、小宇宙である人間の世界が、本来は一つのものであることを体験を通じて知るための実践の道、修法のしかたを明らかにしたものである。伝承の上ではタントラの起源は古いが、ヒンドゥー教の中では、五世紀ころに世間に知られるようになり、さらに八世紀から十二世紀ころにかけて最盛期を迎えた。
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