四阿含経までも「小乗仏教」と呼ぶのは誤り(三枝充悳)


 なお漢訳仏教圏にあっては、漢訳七論の所属が上述したとおり有部であったために、おそらくは後発の大乗仏教の用語・用例などに同調し迎合して、逆に、初期仏教の資料のたとえば四阿含経までも、一括して「小乗仏教」と呼び慣わすという錯覚を抱き、さらには「阿含経」類は「小乗」の故に「大乗」には及ばないなどの迷妄に溺れつつ、近−現代にいたる。最近になってようやく「初期仏教」〔原始仏教〕と部派仏教とをかなり截然と切り離すようになった。しかしその切断が再びいくつかの諸問題などを招来した。

(三枝充悳『ブッダとサンガ─〈初期仏教〉の原像─』、法蔵館、1999年、p. 116)

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